2008年 12月 08日
東京と地方 |
新聞ブログで地方に行くと、東京とは違う、新たな発見をすることがある。
熊本に行った時のこと、小学校で一通り作業を終えた後、時間があまったので、子どもたちに昭島市東小学校の新聞を見せた。記事は、小学生が稲作の農業体験を取材したものだ。
「これは、東京の小学校の子どもたちが書いた記事だよ。」
と私が言う。すると、子どもたちはまじまじと読み始める。
そして、ある男の子が一言。
「へー、東京にも田んぼがあるんだねー。」
と言う。
TAの私としては、単に子どもに新聞ブログというメディアへのアクセスの容易さを説明しようとしただけのだが、意外な反応が返ってきた。
しかし、よく考えれば、これは地方の子どもならではの発想ではないかと思う。
大きなビルばかりが立っていて、人ごみでごちゃごちゃして・・・。地方に住む人間は、「東京」と聞くと、大勢の人間が渋谷のスクランブル交差点を歩いていような、よくテレビのニュースで背景に写る風景を思い浮かべる。
大学生の私でも、昔は「東京」と聞くと、そう考えた。「東京は息苦しいところに違いない」とさえ思った。今でこそ、私も、多摩に住んで2年近く経つから、「東京」と言っても、田んぼや畑だってあるし、奥多摩に行けば、村だって、山だってあることを知っている。
本当の東京には、まだ自然も残っているし、農業が盛んな地域もあるのだ。
でも、東京の真の姿を知らない地方の人間の頭の中の「東京」には、田んぼなんてないし、山なんて存在しない。
きっと、熊本の子どもたちも、「東京に、田んぼやビニールハウスなんてないだろう。」と思っていたに違いない。そんな考えは、教育やテレビによって作られたものだろう。
「東京」は、幻想にすぎない。
しかし、今回、新聞ブログを通じて、子どもたちは東京という町の本当の姿を少しでも発見した。
新聞という媒体から情報を得て、それによって今まで抱いていた印象や考えが変わる。
子どもたちの中には、東京にも農業が残っていることを知って、東京に親近感を覚えたり、東京に対するイメージが向上した子もいるかもしれない。
仮に、新聞がその時代・場所をのぞきこむ「窓」で、人々の生活を豊かにする正しい知識や情報を与えることが役割だとすれば、新聞ブログはたった6つの記事と写真しかなくても、その役割を十分果たしたのではないかと思う。
愛媛に行った時も、同じような経験をした。
しかも、地域に対する印象が向上したのは、ほかならぬTAの私だった。
愛媛の今治市は、中学・高校時代、何回か訪れたことがあった。しかし、今治市には、「あまり特徴がなくて、タオルと造船の町」というイメージしかなかった。
実際に、新聞ブログで訪れた時も、まだ夜8時にも関わらず、道路が真っ暗で、アーケード街のシャッターは閉まり、売り上げ不振でつぶれたデパート「大丸」の姿を見ると、過疎が進んでいる町の寂しさを感じずにはいられなかった。
しかし、翌日、完成した新聞ブログの中に、そんな思いは間違っていたことがわかった。
他のTAが担当した新聞のの中に、今治の青い海と澄み切った空を写真で表現している記事を発見した。
写真を見ただけで、「きれいだなー」と思う。それに加え、見出しは「みんなで守ろう桜井の海」とあり、記事内容は今治の漁業を扱ったもので、漁師さんの必死な姿が伝わってくる記事だった。漁業だけでなく他にも、農業を扱った記事もあった。
そんな記事を見てると、一生懸命働いている漁師や農家の人の姿が頭に浮かぶ。地域の産業を盛り上げようと、頑張っているのだ。
新聞ブログに参加する前は、本当に失礼だが、「今治には、あまり魅力がない」と思っていた。
でも、新聞ブログを見て、無知を反省するとともに、今治という地域を再発見したような気がした。きれいな海、盛んな漁業や農業、今治を愛して、そこで働く人々の姿・・・。今治にも、魅力はたくさんあった。
新聞ブログを通して、今治では、TAである私のその地域に対するイメージが変わり、熊本では子どもたちの東京に対するイメージが変わった。
どちらにしろ、新聞ブログというメディアを通じて、ある地域のそれまでのイメージや印象が変わり、向上したという点では同じだろう。
最近、「ヒトとモノが集まる都市」という言葉や「切り捨てられた地方」という言葉をよく耳にする。そんな言葉を聞くと、その地域に対して一方的に、マイナスなイメージを抱きかねない。
確かに、地方では人口が減り、過疎化が進み、都市部では人口が密集し、自然破壊が進んでいるところもある。時には、それが医療や教育や政治までにも影響を及ぼすこともある。でも、必ずしも地方でも、都市でも悪いところばかりというわけではない。
地方でも都市でも、その地域なりの魅力や醍醐味が必ず存在する。
そんな隠れたモノや埋もれた魅力を人々に発信するのが、地方新聞であったり、地方の支局であったり、新聞ブログというメディアなのだと思う。(こと、多摩の魅力に関しては、タマタンというメディアでありたい。)
そして、東京から地方に単身赴任している人は、東京の魅力を知り、残してきた家族に思いを馳せ、地方から上京して来た人は、故郷の情報を知って、故郷の友達や親類を思い出す。
メディアとは、地域の魅力を発信するとともに、人と人との懸け橋であるのだろう。
根本的なところだが、新聞ブログに参加して、改めて気がついた。
そんな仕事に、将来就けたらいいと思う。
熊本に行った時のこと、小学校で一通り作業を終えた後、時間があまったので、子どもたちに昭島市東小学校の新聞を見せた。記事は、小学生が稲作の農業体験を取材したものだ。
「これは、東京の小学校の子どもたちが書いた記事だよ。」
と私が言う。すると、子どもたちはまじまじと読み始める。
そして、ある男の子が一言。
「へー、東京にも田んぼがあるんだねー。」
と言う。
TAの私としては、単に子どもに新聞ブログというメディアへのアクセスの容易さを説明しようとしただけのだが、意外な反応が返ってきた。
しかし、よく考えれば、これは地方の子どもならではの発想ではないかと思う。
大きなビルばかりが立っていて、人ごみでごちゃごちゃして・・・。地方に住む人間は、「東京」と聞くと、大勢の人間が渋谷のスクランブル交差点を歩いていような、よくテレビのニュースで背景に写る風景を思い浮かべる。
大学生の私でも、昔は「東京」と聞くと、そう考えた。「東京は息苦しいところに違いない」とさえ思った。今でこそ、私も、多摩に住んで2年近く経つから、「東京」と言っても、田んぼや畑だってあるし、奥多摩に行けば、村だって、山だってあることを知っている。
本当の東京には、まだ自然も残っているし、農業が盛んな地域もあるのだ。
でも、東京の真の姿を知らない地方の人間の頭の中の「東京」には、田んぼなんてないし、山なんて存在しない。
きっと、熊本の子どもたちも、「東京に、田んぼやビニールハウスなんてないだろう。」と思っていたに違いない。そんな考えは、教育やテレビによって作られたものだろう。
「東京」は、幻想にすぎない。
しかし、今回、新聞ブログを通じて、子どもたちは東京という町の本当の姿を少しでも発見した。
新聞という媒体から情報を得て、それによって今まで抱いていた印象や考えが変わる。
子どもたちの中には、東京にも農業が残っていることを知って、東京に親近感を覚えたり、東京に対するイメージが向上した子もいるかもしれない。
仮に、新聞がその時代・場所をのぞきこむ「窓」で、人々の生活を豊かにする正しい知識や情報を与えることが役割だとすれば、新聞ブログはたった6つの記事と写真しかなくても、その役割を十分果たしたのではないかと思う。
愛媛に行った時も、同じような経験をした。
しかも、地域に対する印象が向上したのは、ほかならぬTAの私だった。
愛媛の今治市は、中学・高校時代、何回か訪れたことがあった。しかし、今治市には、「あまり特徴がなくて、タオルと造船の町」というイメージしかなかった。
実際に、新聞ブログで訪れた時も、まだ夜8時にも関わらず、道路が真っ暗で、アーケード街のシャッターは閉まり、売り上げ不振でつぶれたデパート「大丸」の姿を見ると、過疎が進んでいる町の寂しさを感じずにはいられなかった。
しかし、翌日、完成した新聞ブログの中に、そんな思いは間違っていたことがわかった。
他のTAが担当した新聞のの中に、今治の青い海と澄み切った空を写真で表現している記事を発見した。
写真を見ただけで、「きれいだなー」と思う。それに加え、見出しは「みんなで守ろう桜井の海」とあり、記事内容は今治の漁業を扱ったもので、漁師さんの必死な姿が伝わってくる記事だった。漁業だけでなく他にも、農業を扱った記事もあった。
そんな記事を見てると、一生懸命働いている漁師や農家の人の姿が頭に浮かぶ。地域の産業を盛り上げようと、頑張っているのだ。
新聞ブログに参加する前は、本当に失礼だが、「今治には、あまり魅力がない」と思っていた。
でも、新聞ブログを見て、無知を反省するとともに、今治という地域を再発見したような気がした。きれいな海、盛んな漁業や農業、今治を愛して、そこで働く人々の姿・・・。今治にも、魅力はたくさんあった。
新聞ブログを通して、今治では、TAである私のその地域に対するイメージが変わり、熊本では子どもたちの東京に対するイメージが変わった。
どちらにしろ、新聞ブログというメディアを通じて、ある地域のそれまでのイメージや印象が変わり、向上したという点では同じだろう。
最近、「ヒトとモノが集まる都市」という言葉や「切り捨てられた地方」という言葉をよく耳にする。そんな言葉を聞くと、その地域に対して一方的に、マイナスなイメージを抱きかねない。
確かに、地方では人口が減り、過疎化が進み、都市部では人口が密集し、自然破壊が進んでいるところもある。時には、それが医療や教育や政治までにも影響を及ぼすこともある。でも、必ずしも地方でも、都市でも悪いところばかりというわけではない。
地方でも都市でも、その地域なりの魅力や醍醐味が必ず存在する。
そんな隠れたモノや埋もれた魅力を人々に発信するのが、地方新聞であったり、地方の支局であったり、新聞ブログというメディアなのだと思う。(こと、多摩の魅力に関しては、タマタンというメディアでありたい。)
そして、東京から地方に単身赴任している人は、東京の魅力を知り、残してきた家族に思いを馳せ、地方から上京して来た人は、故郷の情報を知って、故郷の友達や親類を思い出す。
メディアとは、地域の魅力を発信するとともに、人と人との懸け橋であるのだろう。
根本的なところだが、新聞ブログに参加して、改めて気がついた。
そんな仕事に、将来就けたらいいと思う。
by matsuyama-nagoya
| 2008-12-08 02:00