2009年 07月 16日
球音 |
日本を代表する左腕中日・山本昌がプロ野球での26年の選手生活を綴った「133キロ怪速球」を読んだ。プロ野球界では、速球と言えば140キロが定番である。そんな世界にあって、平均133キロという「怪」速球を武器に200勝をあげた著者の成功への軌跡が記されている。
本書の文と文の行間には、成功への多くの秘密が隠されている。文章も決して飾らず、淡々と自分の野球人生を振り返っている。
「自分には何の才能もなかったが、『継続力』だけは誰にも負けない自信がある」
努力を続けることができるのも、また才能だろう。
「できるなら、自分は楽な方に流されたい部類の人間である。だから、無理な努力はしない。小さな努力をコツコツと。それしかないんです。」
ありふれた言葉かもしれない。でも、応援してきた選手の言葉だけに、他のスポーツ選手や成功者たちの言葉よりも、胸に響く。
そして、著者の成功への最大の秘密を読み解くなら、それはその謙虚な性格にあるのではないかと思う。
例えば、200勝を達成した試合。山本は試合後、インタビューで感動のあまり泣くこともなければ嬉しさを爆発させることもなく、淡々と「支えてくれた周りのおかげです。これからも、頑張ります」と語っていた。それは、決して山本が恥ずかしがり屋であったり、真面目さを偽っているわけでもないだろう。
200勝をしたシーズンオフのことだ。山本は感謝の意味を込めて、トレーナーやスコアラーなど自分を支えてくれたチームスタッフ全員にスーツを贈ったというエピソードがある。本書には書かれていないそんなエピソードも、彼が謙虚であること、そして、彼が周りへの気遣いの人であることの証明ではないかと思う。
ちなみに、山本昌と言えば、野球ファンなら、あの巨体を思い浮かべる変則フォームを思い浮かべる。父の店に来たことがあるらしいのだが、本当にでかいらしい。そのうえ、よく食べ、鰻を3人前食べたそうだ。そんな大食漢ぶりも、成功の要因だろう。
先日、病院から近い球場に中日の試合を見に行った。
上京してから、西武ドームも東京ドームも神宮球場も行ったけど、やっぱり名古屋ドームが見ていて一番気持ちいい。観客の一体感というか、一球一球の緊張感というか、雰囲気が体になじんでいる。
そんな名古屋ドームも、以前は、年に3、4回見に行ったが、最近は年に1回行くか行かないか。昨年は、幸運にも山本の200勝の試合を私は球場で見ることができた。今シーズンは、2軍で調整中の山本。先日の試合でも、マウンドにその姿はなかった。
でも、夏になると強くなるとファンの中では言われている山本昌。蝉の鳴き声とともに、、またマウンドに帰ってきてくれることを祈りたい。
by matsuyama-nagoya
| 2009-07-16 00:31