2008年 07月 06日
篤姫と滝尾 |
大河ドラマ「篤姫」の登場人物に滝尾という女性がいる。
ドラマの中では、端役だが、列記とした歴史上の実在の人物だ。
八王子市宮下町の出身で、江戸末期、女中として越前藩に仕えた後、篤姫が江戸に嫁ぐ1年前から薩摩藩に奉公に出、維新まで勤め上げ人物だ。幕末まで女中として仕えた彼女は、老後は故郷に戻り、今では市内の寺の墓に眠る。
多摩地域は、米がよく取れ裕福な家が多かったために、農家では娘を修行や教養を身につけさせようと大名家に奉公に出すことが多かった。昔から、多摩出身の女中は多かったようだ。滝尾もそのうちの一人であった。
しかし、江戸に近い八王子出身の彼女が外様大名の薩摩藩に奉公に出るのは珍しい。
その背景には、政治的関係があった。当時、篤姫の嫁ぎを前に薩摩藩は大奥との関係性を強めるために有能な女中を欲していた。そこで白羽の矢が立ったのが、将軍継嗣問題で薩摩藩とつながりがある越前藩に仕えていた滝尾だったのだ。
八王子歴史民俗資料館には、そんな彼女が残した歴史上重要な意味を持つ資料が収められている。彼女は、女中の中でも「祐筆」として、薩摩藩が大奥や篤姫に向けて出す手紙の代筆や管理を行っていた。だから、篤姫の様子を伝える大奥からの手紙や、幕府と藩との政治的なやり取りを示す文書が残っている。
大河ドラマを見ていてもわかるように、大奥は江戸時代の政治に大きな影響を与える。しかし、大奥に関しては、歴史的研究があまりなされていない。
そんな中、学者の畑尚子は、「滝尾が残した多くの古文書は江戸城大奥と薩摩藩との交渉の様子を知ることができる貴重な資料である」と述べている。
八王子郷土資料館の学芸員のKさんは、「滝尾は、多摩の百姓の身分でありながら、揺れ動く幕末の政治状況を、渦中にあった薩摩藩邸内から見、実質的に関わっていた。彼女の存在は、幕末という変革期の一側面を象徴しているように思います」と言う。
八王子出身の滝尾は女中でありながら、江戸の無血開城や明治維新など歴史的出来事に携わったのだ。
資料館では最近、滝尾の子孫からの寄贈によって資料が増えた。折しも、大河ドラマの時期とも重なったため、シニアガイドボランティアの方が中心になって企画展示が開催されている。
今回、お話を伺ったシニアボランティアの一人の女性に、
「私は、今滝尾のお墓を探しているのよ。あなたも一緒に探しませんか?」
と誘われた。
これを機に、滝尾のお墓や家など縁のある場所を巡って、幕末を生きた女性の面影に思いを馳せるのもいいかもしれない。
ドラマの中では、端役だが、列記とした歴史上の実在の人物だ。
八王子市宮下町の出身で、江戸末期、女中として越前藩に仕えた後、篤姫が江戸に嫁ぐ1年前から薩摩藩に奉公に出、維新まで勤め上げ人物だ。幕末まで女中として仕えた彼女は、老後は故郷に戻り、今では市内の寺の墓に眠る。
多摩地域は、米がよく取れ裕福な家が多かったために、農家では娘を修行や教養を身につけさせようと大名家に奉公に出すことが多かった。昔から、多摩出身の女中は多かったようだ。滝尾もそのうちの一人であった。
しかし、江戸に近い八王子出身の彼女が外様大名の薩摩藩に奉公に出るのは珍しい。
その背景には、政治的関係があった。当時、篤姫の嫁ぎを前に薩摩藩は大奥との関係性を強めるために有能な女中を欲していた。そこで白羽の矢が立ったのが、将軍継嗣問題で薩摩藩とつながりがある越前藩に仕えていた滝尾だったのだ。
八王子歴史民俗資料館には、そんな彼女が残した歴史上重要な意味を持つ資料が収められている。彼女は、女中の中でも「祐筆」として、薩摩藩が大奥や篤姫に向けて出す手紙の代筆や管理を行っていた。だから、篤姫の様子を伝える大奥からの手紙や、幕府と藩との政治的なやり取りを示す文書が残っている。
大河ドラマを見ていてもわかるように、大奥は江戸時代の政治に大きな影響を与える。しかし、大奥に関しては、歴史的研究があまりなされていない。
そんな中、学者の畑尚子は、「滝尾が残した多くの古文書は江戸城大奥と薩摩藩との交渉の様子を知ることができる貴重な資料である」と述べている。
八王子郷土資料館の学芸員のKさんは、「滝尾は、多摩の百姓の身分でありながら、揺れ動く幕末の政治状況を、渦中にあった薩摩藩邸内から見、実質的に関わっていた。彼女の存在は、幕末という変革期の一側面を象徴しているように思います」と言う。
八王子出身の滝尾は女中でありながら、江戸の無血開城や明治維新など歴史的出来事に携わったのだ。
資料館では最近、滝尾の子孫からの寄贈によって資料が増えた。折しも、大河ドラマの時期とも重なったため、シニアガイドボランティアの方が中心になって企画展示が開催されている。
今回、お話を伺ったシニアボランティアの一人の女性に、
「私は、今滝尾のお墓を探しているのよ。あなたも一緒に探しませんか?」
と誘われた。
これを機に、滝尾のお墓や家など縁のある場所を巡って、幕末を生きた女性の面影に思いを馳せるのもいいかもしれない。
by matsuyama-nagoya
| 2008-07-06 19:13