2008年 11月 04日
映画バイヤー |
毎朝、ポストに届けられる新聞。
私がとっている朝日新聞では、土曜日に別刷り版が付いてくる。
その一面に連載されているのが「フロントランナー」という各界で活躍している仕事人を紹介した記事だ。さながら、新聞版「プロフェッショナル」と言っても過言ではない。
そんな「フロントランナー」だが、普段は読まずにゴミ箱行きとなる。しかし、2週間前偶然、梅原健という人物の記事が目に入った。
肩書は、「エイベックス・エンターテーメント シニア・アクティビション・ディレクター」。言い換えれば、エイベックス所属の映画バイヤーだ。今週公開された「レッドクリフ」の日本での配給権もこの人の仕事だ。
「エイべックスは音楽業界のはず…。何で映画業界に?」
「映画バイヤーの仕事なんて普段知る機会がない…」
そんな思いから記事を読み進めた。
エイベックスが映画業界に参入したのは2005年のことで、3年前らしい。音楽業界から映画業界へ。総合エンターテイメントを目指しての方向転換を図ったようだ。
それにしても、最近映画を見ていると、洋画にしろ、邦画にしろ、エンドロールに相当多くの出資会社が出てくる。東宝、東映はもちろんのこと、広告会社、出版社、音楽会社、テレビ局、新聞社、レンタルビデオ会社、ネットポータル会社、果てはwowowまで。どうして多くの会社で費用を持ち寄るのか。
映画を作る前は、製作にかかる資金を分担することで出資のリスクを減らす。作った後は、なるべく多くのメディアで露出させ、宣伝する。公開後は、複雑な著作権を分担して持ち合う。これも、技術の発達とともに発生したマルチメディア化の一つとも言えるのだろう。
さて、映画バイヤーとは、洋画が輸入される際の国内の元締めとなる役だ。まず、映画バイヤーが、配給権から著作権まで映画にかかわるすべての権利を海外の会社から買う。日本国内では、そのバイヤーのもとに、前述のようなさまざまなメディアからの出資金が集まる。
映画を買い付けるのは、完成後ではない。
「ネットで映画の情報を得て、海外のプロデューサーから脚本を取り寄せて、それを読んで、映画の良しあしを決めます。頭の中で監督になりきって演出をして、脚本の行間を埋め、上映時間と同じスピードで読み進めます。」
映像を見なくても脚本だけでその映画の価値がわかるとは驚きだ。脚本さえあれば、俳優も監督もすべて自ら設定し、カットや音楽も考え、頭の中だけで映画を撮ってしまう。当然、自らの頭の中の映画に対する観客の反応も予想しなくてはならない。自己満足ではだめなのだ。先見性や想像力が要求される仕事だ。
そんな梅原氏が手掛けた作品は、「ラストエンペラー」「ミリオンダラーベイビー」「クラッシュ」「シカゴ」「アマデウス」などアカデミー賞を受賞した作品やノミネート作品ばかり。一方で映画バイヤーの仕事では、自分が買った映画の数のうち3割がヒットや受賞すれば十分な世界だそうだ。運任せなところもあり、シビアな職業だ。
梅原氏の成功の秘訣は3つ。
①「一度惚れた映画は決して逃さない。絶対ヒットさせるという意気込みを持つ。」
ディレクターである自分が好きになった脚本は、いい映画になるに決まっているという自信を持つ。すべて任せろという意気込み・情熱を持って、相手と交渉し、配給権を獲得する。言い換えれば、自分が見つけたネタは必ず企画を通し、映像化する。
②「3回泣かせどころがある映画は、オスカーをとる。ヒットする。」
どんな映画にも、その映画の根幹をなすテーマがある。主人公が葛藤や苦難を乗り越えて成長していく中で、観客の感性に訴えかける泣き所が3か所あればその映画は成功する。言い換えれば、成功する映像には、感動できる3役がある。
③「脚本を見極める眼力を養うためにも、量をこなすしかない。」
年間に読む脚本は、200本以上。脚本以外にも、月9や人気ドラマなどは必ず見逃さない。学生時代は映画館で毎日バイトし、映画ずけの日々。幼少から青年時代にかけては映画を浴びるように見ていた。言い換えれば、映画やドラマを見て勉強して、感性を研ぎ澄ます。
①、②、③・・・。
映画のバイヤーが心がけていることは、映画の範疇だけに留まらないだろう。
映像すべてに共通する重要なポイント。いつも教えていただいていること。
決して忘れまい。
私がとっている朝日新聞では、土曜日に別刷り版が付いてくる。
その一面に連載されているのが「フロントランナー」という各界で活躍している仕事人を紹介した記事だ。さながら、新聞版「プロフェッショナル」と言っても過言ではない。
そんな「フロントランナー」だが、普段は読まずにゴミ箱行きとなる。しかし、2週間前偶然、梅原健という人物の記事が目に入った。
肩書は、「エイベックス・エンターテーメント シニア・アクティビション・ディレクター」。言い換えれば、エイベックス所属の映画バイヤーだ。今週公開された「レッドクリフ」の日本での配給権もこの人の仕事だ。
「エイべックスは音楽業界のはず…。何で映画業界に?」
「映画バイヤーの仕事なんて普段知る機会がない…」
そんな思いから記事を読み進めた。
エイベックスが映画業界に参入したのは2005年のことで、3年前らしい。音楽業界から映画業界へ。総合エンターテイメントを目指しての方向転換を図ったようだ。
それにしても、最近映画を見ていると、洋画にしろ、邦画にしろ、エンドロールに相当多くの出資会社が出てくる。東宝、東映はもちろんのこと、広告会社、出版社、音楽会社、テレビ局、新聞社、レンタルビデオ会社、ネットポータル会社、果てはwowowまで。どうして多くの会社で費用を持ち寄るのか。
映画を作る前は、製作にかかる資金を分担することで出資のリスクを減らす。作った後は、なるべく多くのメディアで露出させ、宣伝する。公開後は、複雑な著作権を分担して持ち合う。これも、技術の発達とともに発生したマルチメディア化の一つとも言えるのだろう。
さて、映画バイヤーとは、洋画が輸入される際の国内の元締めとなる役だ。まず、映画バイヤーが、配給権から著作権まで映画にかかわるすべての権利を海外の会社から買う。日本国内では、そのバイヤーのもとに、前述のようなさまざまなメディアからの出資金が集まる。
映画を買い付けるのは、完成後ではない。
「ネットで映画の情報を得て、海外のプロデューサーから脚本を取り寄せて、それを読んで、映画の良しあしを決めます。頭の中で監督になりきって演出をして、脚本の行間を埋め、上映時間と同じスピードで読み進めます。」
映像を見なくても脚本だけでその映画の価値がわかるとは驚きだ。脚本さえあれば、俳優も監督もすべて自ら設定し、カットや音楽も考え、頭の中だけで映画を撮ってしまう。当然、自らの頭の中の映画に対する観客の反応も予想しなくてはならない。自己満足ではだめなのだ。先見性や想像力が要求される仕事だ。
そんな梅原氏が手掛けた作品は、「ラストエンペラー」「ミリオンダラーベイビー」「クラッシュ」「シカゴ」「アマデウス」などアカデミー賞を受賞した作品やノミネート作品ばかり。一方で映画バイヤーの仕事では、自分が買った映画の数のうち3割がヒットや受賞すれば十分な世界だそうだ。運任せなところもあり、シビアな職業だ。
梅原氏の成功の秘訣は3つ。
①「一度惚れた映画は決して逃さない。絶対ヒットさせるという意気込みを持つ。」
ディレクターである自分が好きになった脚本は、いい映画になるに決まっているという自信を持つ。すべて任せろという意気込み・情熱を持って、相手と交渉し、配給権を獲得する。言い換えれば、自分が見つけたネタは必ず企画を通し、映像化する。
②「3回泣かせどころがある映画は、オスカーをとる。ヒットする。」
どんな映画にも、その映画の根幹をなすテーマがある。主人公が葛藤や苦難を乗り越えて成長していく中で、観客の感性に訴えかける泣き所が3か所あればその映画は成功する。言い換えれば、成功する映像には、感動できる3役がある。
③「脚本を見極める眼力を養うためにも、量をこなすしかない。」
年間に読む脚本は、200本以上。脚本以外にも、月9や人気ドラマなどは必ず見逃さない。学生時代は映画館で毎日バイトし、映画ずけの日々。幼少から青年時代にかけては映画を浴びるように見ていた。言い換えれば、映画やドラマを見て勉強して、感性を研ぎ澄ます。
①、②、③・・・。
映画のバイヤーが心がけていることは、映画の範疇だけに留まらないだろう。
映像すべてに共通する重要なポイント。いつも教えていただいていること。
決して忘れまい。
by matsuyama-nagoya
| 2008-11-04 04:29